Aさんは45歳の女性で、直腸がん末期でした。週に1回の通院で抗がん剤治療を受けていましたが、副作用で食欲減退と貧血が進み、入院が必要になりました。しかし、入院後には栄養状態や肝機能の悪化、骨転移の発見などが判明し、主治医からは抗がん剤治療の継続が難しいと告げられました。
治療方針として、癌の進行を防ぐ治療から、痛みや苦痛を和らげ生命に委ねる緩和ケアへの移行が提案されました。Aさんの家族は医師からの提案として、以下の2つの選択を迫られました。
- ホスピス(緩和ケア)への転院
- 退院し、自宅で介護サービスや在宅医療を受ける
Aさんと家族は、長女の成人式や結婚式が控えていることも考慮し、家族で相談の末、退院して帰宅することを決断しました。治療は終了し、Aさんは最期を家族と自宅で過ごすことに決めました。
成人式前には、Aさんも髪の毛を綺麗にカットし、カラー、パーマも施しました。ただし、美容室での処理は体力的に難しく、感染症の心配もありました。そこで、ご主人がネットで「癌 散髪 楽」と検索し、訪問美容を見つけました。
訪問美容師は自宅のリビングで、Aさんの体調に合わせながら、髪の毛を丁寧にセット。終了後、Aさんの家族は「元気だった頃に戻ったみたい」と涙ながらに喜びました。
続いて、家族全員で長女の成人式と結婚式の前撮りを行い、数日後、その写真がAさんの遺影にも使われました。訪問美容でのお世話のおかげで、Aさんは若く美しく、家族に看取られながら生涯を終えることができました。
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