89歳の男性、Aさんは、関節性リウマチの症状が進み、両腕と両足の関節が腫れ、浮腫み、痛みも強く、一人では階段の昇り降りが困難でした。
男性は、体を動くのがしんどくて、動かないから、気力も心肺機能や認知機能も低下してしまう廃用性症候群に陥っています。
高齢者には住みにくい住宅
Aさんのお住まいは、1階が駐車場兼ガレージ、玄関は2階にあり、居住空間も2階と3階に分かれた住宅。
こういった建売の住宅は、バブルの頃に流行し、当時はステータスの1つだったとお伺いします。
しかし、階段が急で狭く、手すりも後から住宅改修などの工事でも設置ができない建材を使用されているケースの住宅も多く高齢になってから不便な住宅の一例でもあります。
Aさんの寝室は3階で2階の浴室までは、1人で行くことさえできず、週2回訪問介護で入浴介助をしてもらっています。
本来なら、看護師による清潔ケアの回数はそれで十分ですが、散髪となると外出の援助や付き添い、場合によっては介護タクシーの手配が必要となります。
でも、Aさんは散髪にいけない状態がもう半年以上続き、髪の毛も髭も整えることができず、伸び放題になってしまっています。
おまけにほぼ寝たきりの生活なので、毛と毛が絡まってしまい、頭や顔に痒みが出て、困っておられました。
訪問理美容の受入れを説得で分かった真実
ヘルパーや訪問看護師も少しぐらいの髭なら、電動髭剃り器で手入れをすることができますが、伸びきった髭を機械で剃ることが困難な状態で、手の施しようがない状態になってしましました。
そこで、看護師はAさんを説得にし、Aさんも納得され、訪問理美容を依頼することにしました。
Aさんにとって訪問理美容は初めてのことなので、不安が強く、美容師が訪問するなり、「こんな所で大層なことしてもらったら、後片付けが大変や。やっぱりそんなんいらん。」と嫌悪感をあからさまに出されました。
でも、美容師がAさんに話しかけつつ、ベッドの横に室内を汚さない為のシートを敷き、「もし髪の毛が散らかってしまった場合もちゃんと片付けるから、安心してくださいね。」と気さくに言われると、Aさんも「これなら安心。家でもこんなことができる時代になったんやなぁ」と関心されました。
美容師が暖かいタオルで頭と顔を丁寧に拭き、髭剃りクリームを塗るとほっこりした笑顔を出されました。
髪の毛は、Aさんのご要望通り、丸刈りにし、髭も専用の電気シェバーで綺麗に剃ると上機嫌に「昔は男前やったんやで」と話されました。
ヘルパーや訪問看護師は痒みの原因は髪の毛や髭が伸び放題になってしまっている為だと考えていましたが、皮膚をしっかり確認できるようになると、湿疹ができていることを美容師が発見しました。
後日、医師に軟膏を処方してもらい、痒みに悩まされることがなくなったということでした。
その後、Aさんは3ヶ月に1回訪問美容を定期的に予約され、カットと髭剃りを楽しみにしています。
髭剃りやカットは、ファッションだけではなく、皮膚の観察など、健康チェックにも一躍担っています。
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