訪問美容で気持ちも明るく意欲向上 - NPO法人日本理美容福祉協会札幌センター | 札幌の訪問美容・理容・出張美容・介護美容 | 日本理美容福祉協会 札幌センター

コラムColumn

訪問美容で気持ちも明るく意欲向上

定年退職を迎えたAさんは、半年前に頚椎椎間板ヘルニアの手術を受け、その後に起こる様々な症状に悩まされていました。手術後の目眩や指先の痛み、痺れはなかなか癒えず、退院後も自宅での生活が難しい状況に直面していました。

家事や日常生活が難しくなり、自らを責め、涙が溢れ、気力を失いかけていたAさん。さらに、家族の励ましも逆に責められているように感じ、孤立感が募りました。心療内科での診断結果はうつ病・パニック障害。介護保険が利用できない年齢ながら、自立支援医療を活用して精神訪問看護を受け、看護師と作業療法士のサポートを得ることになりました。

そこで作業療法士が気づいたのが、Aさんの長い髪でした。髪の手入れが難しくなり、そのことが彼女の心の負担となっていたのです。訪問美容を提案し、最初は躊躇していたAさんも、3週間の悩みの末に決断しました。

美容師が訪れるも、Aさんは硬い表情で希望も伝えません。しかし、無理には話しかけず、似合わせカットでおまかせで進めました。少しずつ、Aさんの表情が和らぎ、髪型についても自分から希望を伝えるようになりました。

カットが終わる頃には、Aさんの笑顔が戻りました。彼女は「頚が痛むかもしれないと思って、すごく不安でした。でも、家で1人だけでカットをしてもらうのは、特別感もあるし、高級感も味わいました。髪の毛を切ると視界も良くなるし、気持ちも頭も軽くなりました。もう少し座れるようになったら、カラーもしたいです。またきてくださいね」と笑顔で話してくれました。

訪問美容がAさんにもたらした明るさと気持ちの軽さ。身体的な不調に加え、心のケアも大切にしていくことが、意欲を向上させる一歩となったようです。