Aさんは、認知症で徘徊があるご主人を1人で介護する生活を、6年間送ってきました。
ご主人は週2回デイサービスを利用しており、その間はAさん本人の通院や休息、買い物に充てていました。そのため、自分には時間もお金も十分に使えず、おしゃれにかける余裕はありませんでした。
そんなとき、Aさんはご主人の担当の美容師から、訪問美容の存在を知りました。訪問美容なら、ご主人の様子を見ながら、自宅でリラックスしてカットをしてもらうことができるのです。
Aさんは、介護だけでなく子育てで家を空けられないママさんなども訪問美容を利用していることを知り、自分も少しぐらいは小綺麗なヘアスタイルにしたいと思いました。
初めての訪問美容は、Aさんにとってとても貴重な体験となりました。長年伸ばしていた髪をバッサリ切って、すっきりとした気分になりました。
その後、ご主人は亡くなりました。Aさんは、自分も股関節の手術を受けることになりました。術後も階段の上り下りが大変なため、訪問美容を継続することにしました。
Aさんにとって、訪問美容は、介護や術後のリハビリを支えるだけでなく、心の支えにもなっています。
カットだけではなく、自分とご主人のことをよく知ってくれている訪問美容師と、数ヶ月に1回他愛もない会話をするのもとても楽しい時間だそうです。

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