Aさんの胸椎圧迫骨折から廃用性症候群への回復ストーリー
Aさんは自宅のトイレで転倒し、胸椎圧迫骨折のため入院していました。手術を受けずに、コルセットを装着して保存療法で治療を行いました。Aさんの家族は遠方に住んでおり、90歳で一人暮らしです。
Aさんは以前、日本舞踊を楽しんでおり、着物に合った髪型や美しい総白髪に緩やかなパーマを施していました。入院までは家事も自分でこなし、介護の必要がない人でした。
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入院で生活環境が一変
急性期病院での看護師の忙しさから、危険を防ぐためにオムツを使用せざるを得ない状況になりました。
しかし、次第にオムツの中で排泄することが難しくなり、排尿のためにバルンという管を使用。
ナースコールと連動するセンサーマットが必要で、看護師のサポートが欠かせませんでした。入院中の寝たきり期間には、体力や筋力だけでなく、食欲と意欲も低下し、廃用性症候群に陥りました。
急性期病院からリハビリ病院に転移
急性期病院での治療後、Aさんはリハビリ病院に転院し、3ヶ月間のリハビリプログラムを受けることになりました。しかし、Aさんはリハビリを拒否し、ベッドでの過ごし方が主でした。痛みはほとんどなくなったものの、まだ一人で立ち上がることが難しいため、介護保険の申請が必要となりました。
Aさんご本人、家族、病院スタッフ、ケアマネが集まり、退院前のカンファレンスが開催されました。退院後、Aさんは施設に入居することを希望し、年齢に伴う制約から何もしたくないと述べました。娘さんは自宅に戻れば元気が戻る可能性を期待しましたが、Aさんの気持ちは難しいものでした。
娘さんは母を元気づけるため、髪の毛を切る提案をしましたが、Aさんは『切れるなら切りたいけど、こんな足で行けないからもうどうでもいい』と足が不自由で外出が難しいと答えました。
美容室に連れていくことは難しいと断念いたしました。
そこで、ケアマネは訪問美容のサービスを提案しました。
しかし、Aさんは「自宅を汚されたくない」「狭いからそんなことできない」「近所の人の目が気になる」「上手かわからないから嫌」等すべてに否定的でした。
でも、娘さんは当日、退院祝いとしてサプライズで訪問美容を予約することにしました。
美容師が訪問すると、拒否こそしませんでしたが、ツンとした態度であまり良い表情はされませんでした。
始めのうちは、Aさんは拒絶的な態度を示しましたが、徐々に会話が弾み、笑顔が戻ってきました。カットは椅子に座って行われ、体力が足りないため、シャンプーと頭皮のマッサージはベッド上で行われました。カット後、Aさんは大満足し、今度はパーマを希望しました。
カット前よりも表情が明るくなり、今では、お寿司を食べたいと話すまで、Aさんの変化が見られました。
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