20年前まで、高齢者や障がい者の理美容事情は、昔ながらの理髪店での施術が難しくなり、個人的な自宅訪問が一般的でなかった時代がありました。その当時、訪問理美容は珍しく、地域によってはカットだけでも数千円から1万円と高額であることが一般的でした。
高齢者は在宅よりも施設や病院での入所・入院が一般的であり、在宅介護では家族が髪の毛を切ることが慣例でした。しかも、施設や病院では介護職員がバリカンでの髪の毛の「刈り込み」が行われ、その目的は清潔保持であり、おしゃれや身だしなみのためではありませんでした。女性入所者は特にバリカンに抵抗し、時折剃刀で怪我を負う事態も発生していました。
こうした状況は、職員の離職を引き起こすなどの問題を引き起こしましたが、平成18年頃以降、訪問理美容が増加し、介護現場も大きな変革を遂げました。訪問理美容の費用が抑えられ、一般の所得者も気軽に利用できるようになり、病院や施設では介護職員の理容業務が減少し、職員の負担も軽減されました。
その結果、在宅の高齢者や障がい者たちも、病気や身体的な制約に関わらず、おしゃれを楽しむことができ、外出へのモチベーションも向上しました。訪問理美容は、美容だけでなく、心の健康にも寄与していると言えるでしょう。
この進化は、社会が高齢化していく中で、美容と健康の関連性に対する新たな認識をもたらしました。今後も、訪問理美容が進化し、ますます多くの人々にとって身近な存在となっていくことでしょう。
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